�給{脇檀建築研究室では、個人住宅の設計を基本に、集合住宅・団地開発、店舗から一般建築まで幅広くその企画、 設計及び工事監理に関わらせて頂きました。また設計競技やプロポ−ザルにも 数多く経験する機会に恵まれました。
　その間、建築が単に機能や効率、コストのみを追求されるものではなく、その地の歴史の変遷や周 辺環境の中で捉えられ、社会的な文化資産形成に対して重大な責任を持つべき存在であること。 また、建築の骨格となるテ−マやコンセプトと共に、被覆となる素材の選択や細部の寸法、納まり の良否が最終的にその建築の評価となることなど、師宮脇檀を初め様々な方より示唆を受けながら、 実践してまいりました。

　中村彰建築研究室設立後も、これまで同様歴史や周辺環境との 関わりの中で、設計を行いつつ、これからの家族、人 間関係の変化とあるべき建築との関係を私なりに模索してまいりました。
　分譲マンション、個人住宅の設計をはじめ、戸別設計を伴う既存マンションの建替え、 市街地再開発事業に伴う地権者共同住宅、既存の店舗付共同住宅の建替えなど、きめ細かい 戸別対応を要求される案件で実績を重ねてまいりました。

　法人設計事務所と言っても、専ら私個人の力を頼りとした小規模事務所。どれほどの働きが出来、 皆様に認めて頂けるのか、不安が全く無いと言っては嘘になりますが、丹念に良い仕事を続 けていくことによって徐々に評価を受けると信じ、一日一日を大切に努力したいと考えています。
　今後、たとえ規模は小さくともしっかりとした設計を行う意欲のある事務所として、心に留めて 頂けるようお願い申し上げます。まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。

敬具